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南画入門講座2 準備編

  ここでは、これから南画を始めようとする人のために、必要な用具と描く前の準備を紹介します。


用具を揃える

用具一式 用具は初めのうちは最低限必要なものだけでいいでしょう。
 筆、紙、墨、硯、絵具、絵皿、筆洗、下敷きなどを揃えます。
最初に揃えるときは少しお金もかかりますが、一度揃えてしまえば長期間使えますので、ある程度のものを入手することをお勧めします。

       
 (右上)筆洗  (右下)絵皿  (中)筆  (左上)鉄鉢絵具  (左下)墨と硯  ラシャ製下敷きの上に  


 付け立て筆が適しています。「長流」「玉蘭」「名成」などの商品名で販売されています。そのほか「則妙」なども線を引くのに適した筆です。いずれも最初は小、中の2本あれば十分でしょう。価格は1本2,000〜4,000円程度です。


 和紙を使います。和紙の種類はいろいろありますが、南画には画仙紙が適しています。画仙紙より上等な紙に玉判箋がありますが、近年は入手が難しいようです。
 画仙紙は単箋、二双紙、三双紙などがあります。それぞれ厚さと墨色、滲み方が違います。入門には滲み方もほどほどの「厚口画仙紙」とよばれるものが扱いやすいでしょう。また、日本製のほか中国画仙紙もあり、値段も手ごろで墨色もきれいです。いずれもドーサ引きしていない「生紙(きがみ)」を用います。
 練習には、F4号やF6号に裁断して100枚1束にしたものを売っていますので、これを用いるといいでしょう。価格は1束700〜1,200円程度です。


 絵画用の墨(画墨)を使います。墨には油煙墨と松煙墨がありますが、油煙墨(青墨)が適しています。
 墨はピンからキリまであり、墨色も様々ですが、あまり安価な墨は発色が悪くお勧めしません。中級品の「蘭奢待」(墨運堂製)などが価格(4,000円前後)、墨色の上からも手ごろでしょう。


 あまり安価なものは磨りにくく、墨液の粒子が細かくないのできれいな発色が得られません。大きさは小型のものより中型の方が扱いやすく、価格は3,000〜6,000円程度を目安にすればいいでしょう。


絵具

 水墨に淡彩が基本ですから、絵の具も水墨にあった「顔彩」や「鉄鉢絵具」が適しています。顔彩は小さな角皿に入った絵具を12色程度のセットにしたものがあります。初めてのときはこれが手軽で便利でしょう。鉄鉢絵具は丸い小皿に入った絵具で各色あります。必要な色を順に揃えていくといいでしょう。いずれも水で溶いてそのまま使います。
 価格は、顔彩が1セット(12色)1,500〜2,500円程度、鉄鉢絵具が1色500円程度を目安にするといいでしょう。


絵皿

 墨や絵具を溶く際に必要となる白い無地の陶製の丸皿です。大中小ありますが、中くらいのものを数枚用意するといいでしょう。


筆洗

 筆を洗ったり、墨や絵具を溶いたりするのに必要な水を入れる容器です。陶製のもので丸型、角型のものがあります。筆を洗う水と墨や絵具を溶く水が混じらないように、中に仕切りのあるものを用意します。


下敷き

 用紙の下に敷く布製の下敷きです。白いラシャ製のものがよいですが、習字用の緑色のものでもよいでしょう。白やグレーの毛氈があれば申し分ありません。

 そのほかにあると便利なものは文鎮、水匙、布巾などですが、これは特に買いそろえなくとも、他のものでも代替えができるでしょう。また、作品制作には画用木炭羽箒があると便利です。


水墨を作る


紙に向かう

 まず、絵を描く場所ですが、昔は畳に毛氈を敷いてその上に坐って描いていましたが、前に屈むのでどうしても腰を痛めてしまいます。中国式に椅子に座り、机に向かって描く方が健康上もいいでしょう。もちろん畳や床に坐って描いても構いません。下敷きの上に用紙を敷いて準備をします。



筆をおろす

 必要な用具が揃ったら、初めに筆洗に水を入れましょう。仕切りの両側に7〜8分目ほど水を張ります。片方を筆洗い専用に、もう片方を墨や絵具の溶き水専用にします。
 まず、筆をおろします。筆は水で穂の根元まで全部おろします。

墨を磨る

 次に墨を磨ります。水墨であっても墨は濃く磨ります。硯の地肌が見えるようになれば濃く磨れたしるしです。


墨を混ぜる

次に、筆の穂に筆洗の水を含ませ、布巾に余分な水を吸い取らせてから墨を少し筆にとります。多く取りすぎないように墨で硯の岡(墨を磨る部分)に墨液を一部引き上げて筆にとり、絵皿の中で混ぜます。

 絵皿の奥の縁部に筆の穂を押し当て、そこから筆を少し左右に動かしながら中心部まで手前に引いてくると、皿の縁部に濃墨が残り、手前に来るにしたがい淡墨に変わってきます。そして再び手前から奥に墨を混ぜ進みます。そうすると、筆の穂の根元の方には淡墨が、中ほどには中墨が、穂先には濃墨が含まれたことになります。
墨を混ぜる

 

紙に線を引く

 この状態で紙に線を左から右へ引いてみます。線ははじめ濃く、次第に薄くなっていくことがわかります。
これを何度も練習し、墨の量、水の量と線の濃淡の感覚をつかむようにします。
紙に線を引く


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